シェル美術賞展 2007、代官山・ヒルサイドテラス

去年、シェル美術賞審査員賞を受賞した福島さんが今年はなんとグランプリを受賞。

昭和シェル石油株式会社 - シェル美術賞 - シェル美術賞2007 受賞作品 (画像あり)

……ということで早速、見に行ってきた。

去年、福島さんの作品を「性的な匂いの濃い作品です」と評した蔵屋審査員(東京国立近代美術館主任研究官)は、今年も図録で福島さんの作品について「上の少女のかかとが下の少女の女性器に当たる部分を踏んでおり、痛みとも親密さともいえるものを感じさせます」と、性的な(?)解釈をしておりました。うーん、どうなんだろう。

作品のタイトルは「夢のつづき」。下のほうに横たわっている少女は眠っていて、上にのっかっている少女はその夢の中の少女であろうか。だとすると下の少女は「現実」のはずだけど、どこか苦しげで影の薄い感じに描かれている。一方、上の少女は明るく、きれいな肌をしている。

といっても、上の少女も落ち着かない体勢で、右足は少女の下腹部の上に乗っかっている。まあ確かに下腹部だから「女性器の上」といえなくもないが、どちらかというと、体の脆弱な部分に足を置かなくてはいけない上の少女の窮屈さや、逆に、下の少女にのしかかる圧迫感や不安感(金縛り的なもの)が感じられる。

……と考えると、どこか苦しげな感じで(そういえば下の少女の指も痛々しい感じがする)、まるで真夜中に苦しくなって急に目が覚めたときのような(寝相が悪くて窒息しそうになって目が覚めたときのような)感覚を思い起こしてしまう。

この絵の面白いところは背景の黒で、(ウェブの画像だとわからないんだけど)とてもつやのある黒で、厚みをもって描かれている。深夜の漆黒のようであると同時に力強さも感じさせられる。これは「古い現実」から脱皮して「新しい自分」を実現しようという(現実世界の)苦しみを深夜の夢うつつの風景と重ね合わせて描いたものなのかもしれない。

そう考えると、上の少女の肌のキレイな感じが、まるで脱皮したばかりで羽が固まりきっていない蝶々のように見えてくる。……というのは全部俺の勝手な想像で、実際作者のどんな「潜在意識」がこの絵に現れているのか、それはよくわからないが、いずれにしても歴史ある賞のグランプリをとったということで「新しい自分」(グランプリ受賞者!!)になったのは間違いない。

そのほかの作品も、いくつか面白い作品があった。去年より(いい意味で)「妙」な感じの絵が多いような気がする。なかでも中井審査員が選んだ審査員賞と、審査員奨励賞の絵が面白かった。

で、この入賞・入選作品は、12月2日(日曜)まで代官山で見られるんだけど、

参考: シェル美術賞展2007

これ入場料400円ってなってるんだけど、これが無料になる方法が三つある。まず、↑このページから入場引換券をプリントアウトすると無料になる。

紙とインクがもったいないという人はこのページを開いて見た上で、受付で「東京アートビートを見た」と言うと無料になるらしい。

それが恥ずかしいという人は、会場の建物に入ってすぐのエントランスホール(展覧会場に入る手前のロビー)にチラシがいろいろ置いてあるコーナーがあって、(運がよければ)そこに無料の招待券がいっぱい置いてある。(こんなことするくらいなら入場無料にすればいいのに)

参考

シェル美術賞展 2007
会場: ヒルサイドテラス
スケジュール: 2007年11月21日 〜 2007年12月02日
開場時間10:00〜19:00、会期中無休
住所: 〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町18-8
電話: 03-5489-3705