面白いドーナツの絵、発見!!

tumblr.をうろついてたらこんな絵を発見した。

面白い。一般的な話として、絵を描く人って、こういうコーヒーに浮かんだクリームの模様とか、ドーナツにかかった砂糖(?)みたいな、日常生活でみかける「絵の具っぽいドロっとしたもの」についてどう思ってるんだろう、って、前から思っていたんだけど。

キャンバスに描かれる対象(この場合、後ろにいる人(警官?))と、手前のコーヒーのクリームの本物っぽい感じが境目なく、まじり合ってる感覚が面白い。きっと描いた方は絵の具で絵を描く意味について、いつもあれこれ考えているのであろう。

……などと考えながらtumblr.のリンク先の作品をよく見てみると、どうもこれは「絵」ではなく、絵の具を塗った人を撮影した写真のようだ。

色々検索してみると、この作品をつくったBoo Ritsonさんは俺よりひとつ年上なんだけど、大学院を出たのが2005年という「新人」さんらしい。

さらに検索してみると、色々なことがわかってきた。

このドーナツの作品は、今年の五月にロンドンのギャラリーで開かれた "Anticipation" という展覧会で展示されていたらしい。(←このページを見ると、日本人らしき人も作品を出していたみたい)

as the contemporary art world moves at a rapid pace, prices for some of those who are included - Boo Ritson and Michael Lisle-Taylor, for instance - are rising.

Ritson's photographs of paint-soaked people and objects have risen in price since last year when they cost £2,500 each. Ritson's Donut in this show costs £6,000 plus VAT.

Boo Ritsonらの作品価格は上昇しており、去年は2,500ポンド(約575,000円)だったものが、この展覧会での "Donut" は6,000ポンド(約1,380,000円)(プラス税)になっている (要約)

Culture: Music, TV & radio, books, film, art, dance & photography - The Telegraph

若手といっても、注目株ということで結構値上がりしている様子。

さらにこの記事によると、この展覧会 "Anticipation" を企画したのはKay Saatchi (Charles Saatchiの元奥さん)とその仲間たち。会場になってるギャラリーone one oneってのは、コレクターのDavid Roberts氏が開いたスペースらしい。

このRoberts氏、TIMESのこの記事(The secrets of successful art collectors)によると、"The UK’s most important collectors"のひとりで、不動産で財を成したお金持ち。2,000点もの作品をコレクションしており、今度財団を設立して若手アーティストとキュレーターを支援する活動もはじめるらしい。

ちなみにこのTIMESの記事、「よいコレクターになるための秘密」というタイトルで、なかみは「Great Collectors of Our Time」という本の紹介みたい。いろんなコレクターを紹介しながら、お金だけあってもダメ、知識も必要、だけど頭でっかちでもダメで……云々とコレクターの心得について紹介している。

Great Collectors of Our Time: Art Collecting Since 1945

Great Collectors of Our Time: Art Collecting Since 1945


面白そう。

一方、この展覧会を企画した Kay Saatchi、この記事 (Kay Saatchi: Art & Design: Wmagazine.com)によると、もともとニューヨークの出版社コンデナストで働いていて、その後ロンドンに渡ってギャラリーを開業、その後Saatchi氏と出会ったらしい。

この記事によると(元)旦那のSaatchi氏は結構気難しい人らしく、

“Charles is not a very nice person, so what Kay would do was find a lot of new and interesting artists and make them feel loved, warm, special, then Charles would take over and push them to produce their best work.”

Charles は「とてもいい人」ってわけではないので、Keyが新しくて面白いアーティストをみつけてきて優しく接し、(親しくなったあとで) Charlesがでてきて彼らにいい作品を作ってもらっていた

Kay Saatchi | W Magazine

……らしい。 "push them to produce their best work" ってのが具体的にどういうことをしたのか気になるけど。

If you look at what Charles has achieved in these years, you have to credit Kay as well

Charlesが過去に成し遂げてきたことを振り返るときには、Kayの果たした役割についても忘れてはならない(ちょっと意訳)

Kay Saatchi | W Magazine

"Saatchi Gallery"の名前はなんとなく知っていたけど、(元)奥さんも、なかなかの人だったんだなー。こういう「Anticipation」みたいな展覧会、日本でも見てみたいもんだ。

とりあえず、ドーナツの写真をReblogして我慢することにした。