「パクリだ」と言われたデミアン・ハーストの作品をSchemeでパクってみる
勉学の秋! ということで、昔ちょっとかじって、中途半端でほったらかしていたプログラミング言語Schemeの勉強をしてみることにした。
今回は、ちゃんと勉強して「図形言語」とかいうので こんな絵 を描いてみたいなーなどと妄想しつつ……
とりあえず、SVGという画像ファイル(なかみはXML)を、schemeで生成する実験からはじめてみることにした。
さてどんな図を描いてみようかなーと色々考えて、
「そうだ、デミアン・ハースト(ダミアン・ハースト)の点々の作品をパクってみよう」
……と思いたって、色々検索してみたところ、こんな画像を見つけた。
(左: Damien Hirst "Valium")
そうそう、この左のみたいなやつを描いてみたいなー。ところで右の黒いのは何だろう、と思ってよく読んでみたら、なんか右の図を描いた人が「俺の絵がハーストにパクられた!!」と苦情を言ってるらしいことがわかった。
参考
- Can you spot the difference?| Arts & Exhibitions | This is London
- My old friend Damien stole my skull idea - Times Online
右の黒いのを描いたのはRobert Dixonさん。ハーストに苦情を言ったが、
He claimed that when he initially contacted Hirst in 2003 he was taken aback by the e-mail response from the artist’s manager. Apparently unaware of Mr Dixon’s involvement with it, the manager said that Hirst had drawn inspiration from a book given to him by a friend – The Penguin Dictionary of Curious and Interesting Geometry.
Mr Dixon told The Times: “So Hirst’s manager wrote back to say the drawing was ‘nothing to do with you’, not realising that it was.”
2003年、Dixonさんがハーストに連絡したところ、マネージャーから電子メールで返信があり、Dixonさんとは関係ありません、友人からもらった本「Penguin Dictionary of Curious and Interesting Geometry」というのを見て、それを参考にしたのです、との主張だった。
Home Page – The TLS
……が、その本の図を描いたのがDixonさんで、ハースト側は、それに気づかず結果的に「盗作」を認めてしまったらしい。
といっても、この点々の「柄」自体はDixonさんの独創というわけではなく、自然界でよく見られる柄「Fermat's Spiral」(フェルマーの螺旋・渦巻)というもの。
- 参考: Ivars Peterson's MathTrek - Fermat's Natural Spirals (Dixonさんの研究についても触れられている)
早速、プログラムを書いて、ランダムに色をつけてみた。
ちょっと色合いが違うような気がする。
実物の色を参考にしてちょっと配色を変えてみた。
たいした違わないかな。どうだろうか。
プログラム作成にあたっては、以下のWikipediaのエントリーが非常に参考になった。
黄金比に基づいた "golden angle" を使って点々を描いていくとこうなるらしい。 (日本語だと黄金角?)
このDamien Hirstの作品「Valium」、アートのネット販売サイト「タグボート」だと137万円で売っていたみたい。そんなに高いのか? と思って色々調べてみたところ、海外で1万ポンド前後で売っているところがいくつかみつかったので、それくらいが相場のようだ。なんか前、銀座のオークションの下見会で見たような、見てないような……
あと、これ描いてみて気づいたのだが、中心のとこをうまく処理しないと点が重なってしまう、ってこと。あと何個点を打つか、ってのにオリジナリティ(?)が出るはずので点の数とか中心付近の模様、あと点の大きさと間隔が似ていれば(もとが自然界の柄だといっても)パクったと考えるのが自然じゃないかなぁ、と思った。(問題の絵はちゃんと見てないのでわからないけど)
あと、このハーストの作品の色はどんな意味があるんだろう。何か意味があるのかもしれないけど正直どうでもいいような気もする。
この図を描くのに使ったプログラムは以下のとおり。
これくらいだとわざわざscheme使わなくても、どんな言語でも同じように書けると思うけど。
使ったのはscmで、SLIBのformatとrandomを使用。
;;; A program that generates SVG drawing of Fermat's spiral dots, ;;; Looks alike Damien Hirst's artwork entitled "Valium" (require 'format) (require 'random) (define output-filename "fermat.svg") (set! *random-state* (seed->random-state (* 2857 (current-time)))) ; 適当 ^^) (define phi (/ (+ 1 (sqrt 5)) 2)) (define golden-angle (/ (* 2 pi) (* phi phi))) (define colors '#( (46 139 87) (200 70 51) (255 140 10) (20 206 209) (240 240 100) (240 200 10) ; yellow (106 90 205) (75 10 130) ; blue (192 192 192) (210 180 140) ;gray (240 192 203) ; pink )) (define make-color (lambda (colors) (let ((color (vector-ref colors (random (vector-length colors))))) (map (lambda (x) (let ((a 0)) (set! a (- (+ x (random 10)) 5)) (if (> a 255) 255 (if (< a 0) 0 a)))) color)))) (define (fermat-spiral n p) (let ((r 0) (c 8) (t 0) (col ())) (do ((i 0)) ((> i n) ) (set! r (* c (sqrt i))) (set! t (* i golden-angle)) (set! col (make-color colors)) (display (format #f "<circle fill=\"rgb(~d,~d,~d)\" cx=\"~d\" cy=\"~d\" r=\"5\" />~%" (car col) (cadr col) (caddr col) (floor (+ 350 (* (cos t) r))) (floor (+ 350 (* (sin t) r)))) p) (set! i (+ i 1))))) (define (fermat-svg p) (display "<?xml version=\"1.0\" encoding=\"utf-8\" ?>" p) (display "<svg xmlns=\"http://www.w3.org/2000/svg\">" p) (fermat-spiral 1200 p) (display "</svg>" p)) (call-with-output-file output-filename fermat-svg)