バグダッド・カフェ
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2003/04/25
- メディア: DVD
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米国ではOut of Rosenheimっていうタイトルだったのだろうか。(Rosenheimってのは、主人公のドイツ人が住んで(?)いた、バイエルン州の町の名)
なにもない砂漠の真ん中にポツンと建っている、カフェ兼モーテル兼ガソリンスタンドが舞台。そこにドイツ人旅行者のオバサンが車輪付きスーツケースを引きずりながら現れて物語が始まる。
砂漠の真ん中で余分なものが無いので話がわかりやすい。日本の都市なら「寝起きする場所」と「仕事する場所」と「愛について語り合ったりする場所」は、ある程度分離して考えることもできるが、それが全部一箇所にまとまっている。
その場所が気に入らなければ出て行けばいいというだけの話なのだが、何しろ全てが「そこ」で起こっているわけで、「そこから出て行く」ことの重さが伝わってくる。ブラウザを閉じれば消えてしまうネットの世界の軽さの対極にあるとも言えるだろう。
それでもそこの暮らしから「出て行く」ことを強いられる、もしくは「自ら出て行く」ことを選択しなければならない時の人間の弱さというか強さというか、そういうものについて考えさせられる。
カフェの黒人の女主人、この人どっかで見たなー、確か刑事役やってたような気が。と思って調べてみると、シュワルツェネッガーの「End of Days」に出ていた人だった。かっこいいおばさんだなあ、と印象に残っていたので、演技をたっぷり見られるのが嬉しい。
ありきたりだけど、映像が綺麗。外国旅行に行って、現地について、バスなり車なりに乗って移動するとき、ぼーっとしながら窓から見る「どうでもいい景色」、例えば電線だったり、よくわからない機械(タンクとか)、意味も無く広がる空き地とか。そういう景色を見ながら「あーこんなところにも人が暮らしてるんだなー」としみじみする、そういう「しみじみ」な景色が満載。夕日も綺麗。全体的に色が綺麗。
この映画を見るきっかけになったのが、俺の「ハウルの動く城」に関するエントリーに頂いた id:fumi_o さんのコメント。ソフィの掃除シーンを見ながらこの映画を思い出されたとのこと。そこで、どれどれ、と検索してみたところ、こんなエントリーも発見。
ジャスミンが喪黒福造になんか似ている、とか、
「ハウルの動く城」ってバグダッド・カフェがやりたかったのか、とか、
余計な事も考えたが、
何よりもこの映画の終わり方はすごく格好良いと想う。
センスがある。
「ハウルの動く城」と「バグダッド・カフェ」。対比して見ると確かに面白い。やっぱりハウルはイケメンすぎるせいで、話がわかりにくくなってるのかもなあ。
ロケ地は、カリフォルニア州 Newberry Springs らしい。カフェは現存していて、観光名所になってるらしい。(ウワサで聞いたコヨーテ・アグリーみたいだな。コヨーテ・アグリーみたいなお店じゃないとは思うけど)
カフェの公式サイト http://www.bagdadcafeusa.com/