横浜美術館「アイドル展」

10月14日の日経新聞に掲載された「公立美術館格付け」で「AAAランク」のナンバーワンの座に輝いた横浜美術館に行ってきた。

アイドル展

篠山紀信が撮影した山口百恵の映像が面白かった。NHK特集として放送された映像らしいんけど、そんなふうにはみえない。いまだったらDVDで売り出されても全然おかしくない、よくできたイメージ映像集。

14、5才の頃の山口百恵の映像がたっぷり見られる。つまり、30年くらい前の映像。背景の街が古いのは当たり前として、山口百恵本人の髪の色、ヘアスタイル、お化粧、体型 ( ! ) 、着ている水着の生地、とにかくなにもかもが古い。

途中、「山口百恵が日常生活で使っている日用品」の紹介コーナーがあるんだけど、ここが特に面白かった。

トランジスタラジオ、テープレコーダー、古い。(というか、今はもう使っていない)

東大の落研の人にもらった扇子、三國連太郎にもらった醤油差し(だったかな? なにか瀬戸物でできた入れ物) ……どこの遺跡の出土品? ってくらい古い。

メガネ、古い。歯ブラシ……歯ブラシも古い。30年前の歯ブラシって、今使ってる歯ブラシと全然違う。ぱっと見、すごく古く見える。これは驚きだった。

「はぁー、歯ブラシも古いのかー」と呆然としてると、ぱっと映像が切り替わって、星空の長時間露光写真が映る。さらにキリマンジャロ(チョモランマかな?)の山の映像。

どういう意図で、星空と山の映像が入っていたのか、いまだにわからないけど……とにかく、見ている気分にマッチしていて面白かった。

アイドルってのは、常に「最新でカッコイイ」存在なんだと思うけど、「30年前の山口百恵」ってのは、つまり「30年後の今」ってことで、今使ってる歯ブラシも30年後には「ぱっと見、明らかに古い歯ブラシ」になるということだ。

ほかに、雑誌明星の昔の表紙写真が壁一面に展示されていたり。篠山紀信以外は、アイドルが主人公の少女マンガ「きらりん☆レボリューション」の原画展示、女の子に人気のアーケードゲーム「ラブ and ベリー」の展示、蜷川実花草間彌生、川島秀明ほかの作品展示、と。

会期は1月8日までらしいけど、クリスマス前後はデートのカップル、年末年始は親子連れなどもターゲットになっているのだろうか。 企画の訴求力は若干弱いような気もするが、展示自体は意外に面白かった。

(参考: Wikipediaの山口百恵のエントリー)