大竹伸朗展、東京都現代美術館

東京都現代美術館・大竹伸朗 全景展。

日本の芸術家らしからぬダイナミックさと、とりつかれたかのような執着心が感じられる作品群であった。

日本で生まれ育った芸術家がヨーロッパ(もしくはアメリカ?)のイメージをもってきて作品を作ると、どこか借り物のような感じがしてしまうし、一方、日本の事物をテーマにすると、ダイナミックな作風が災い(?)して、これまた、ちぐはぐな感じがしてしまう。なんとなく居心地の悪さのようなものを感じた。

網膜シリーズ、(網膜♯2など)

お船の作品、(切断された船首など)

などが印象的だった。欧米で生まれ育ったらどんな作品を作っていたのかなあ、と考えてしまった。

立体作品は、日本のごみごみ、ごちゃごちゃした、ちぐはぐな風景をモチーフにしたような作品が多かった。その、日本の猥雑なごみごみ感が煮詰められ、よりごみごみ、ごちゃごちゃしたような印象。(たとえばこんなの。ダブ平&ニューシャネル)

美術館の建物の屋上に設置された 宇和島駅のネオンサイン が面白かった。これは外から見る作品なので、これをみるだけなら無料ですむ。

常設展は、相変わらず、工夫されていて面白かった。1Fは、1940年代の日本の絵画から、もの派、ナム・ジュン・パイクの作品まで。2Fでは、荒木珠奈さんの作品がすてきであった。送電グリッドに家が電線でつながって、それぞれの家に明かりがともっている様子を作品にしたもの。しゃがんでしばらく眺めてしまった。

展示室のすみには、観覧者用の追加の「家」が置いてあって、それを手にとって電線に接続できるという、参加型作品でもある。

あと、常設展示室の1F、入ってすぐのアトリウム空間に置かれている、四本足の鉄の箱の作品は、さわることはできないが、なかに入ってみることができる。