府中ビエンナーレ、府中市美術館

昨日は、江戸東京たてもの園に行った後で府中市美術館によってみた。

府中ビエンナーレ開催中。(24日まで)

1990年以後に制作を始めた若い作家さんの作品ばかりということで、色々な工夫が盛り込まれた意欲あふれる面白い作品が集まっていた。

テーマは「美と価値」、作品の価値形成に作家がどう関わるかってのがテーマらしい。作家が作品の価値にどういう意識を持っているのかは、作品を見ただけだとよくわからなかったが、今回出品されている作品達は、市場ではどういった評価を得ているんだろうか?

松井茂さんの作品は鏡や数字を並べた「詩」らしいが、電子計算機の中で動いている「美しい詩」を見慣れている俺から見ると、これは理系の用語で言う「可視化」をテーマにした作品にしか見えなかった。

鏡を並べて可視化するってのは、面白い試みだけど、肝心の詩の内容をデコードできなければ(俺にとっては)まったく意味が無い。

大竹敦人さんの作品はとても面白かった。(作品)

中空の大きなガラス玉の内側に針穴写真の要領で風景を焼き付けたもの。目玉みたいだと思うと不気味に感じられるが、風景描写の一手法だと思うととても面白い。すごい画角だ。球面に投影しているのでゆがみも感じない。

豊嶋康子さんの作品は特に面白かった。

どれも興味深かったが、特に『復元』が面白かった。陶器の断片から全体を『復元』したものなんだけど、「こんな、手でこねたような、くにゃっとした形じゃなかったと思うけど!!」と思った瞬間、『正しい形』がどんなであったか、想像してしまう。その瞬間、見てる人と作ってる人の気持ちがかなりシンクロする、ように感じられる、面白い作品。

また、以前、この美術館の公開制作で、『色調補正』という作品を作られたらしいが、これも面白い。

この美術館にはアーティストの公開制作用の部屋があって、そこで定期的に色んな作家が制作をしているらしい。これは面白い試みだと思った。

今は、中ザワヒデキ氏の「脳波ドローイング」という、読んだそのままの作品が展示されていた。

府中市美術館を訪れたのは今回がはじめてであったが、熱心に工夫して色々企画しているなかなか素敵な美術館であった。