会田誠 x 山口晃 「アートで候」 上野の森美術館
なかなかオススメの展覧会。(好みが俺と近い人には)
まず、面白かった作品の紹介。
メイン会場から離れたところ、出口の近くに「別室」があるんだけど、そこの会田誠の展示が面白かった。
まず、小学生の水彩画ポスターっぽい会田誠の作品が並ぶ。「交通安全ポスター」みたいな感じの絵。「まちをきれいにしよう」とかいって、違法滞在外国人の絵がへたくそな小学生風のタッチで描いてあったりする。
それはいいんだけど、その隣に、でっかい模造紙に手書きの字で、夏休みの自由研究っぽい「ポスター発表」があって、これが面白かった。
1995年の作品で「風景の光学的記録におけるイコン化の確率に関する研究」というもの。
簡単に言うと、新幹線に乗ってビデオカメラで窓の風景を撮影する。その映像をヒトコマずつ検証して、「絵になってる」と感じられるコマがどれくらいの割合で存在するか、というような研究。
確か、0.044%だったかな? 残りは「ごみのような」風景映像だ、ということで、その「傑作」と「ごみ」の写真をいくつか並べて解説(批評)付きで展示する、というもの。「傑作」のなかに、偶然人がうつってるのがあるんだけど、これがなかなか面白かった。
山口晃の作品も面白かった。「山愚痴屋・澱エンナーレ」と題して、12人の作家の作品を一同に展示。(って、その12人は実は全部山口晃なんだけど)
映像から油彩まで、12の作風の作品を展示。「自画像」はモーターが仕掛けてあってぶるぶる振動してよく見えない(「ソフトフォーカス」の)絵になっている。道路の標識をモチーフにした絵は、結構ゆるい感じの油彩。 (例えば自転車及び歩行者専用の標識は、「娘の自転車が家に届いた」絵になったり)
山口晃というと現代風日本画しか知らなかったので、なんでもできる方なんだなーすごいなーと思ってしまった。
メインの、よく見かける「代表作」たちも、どれも面白かった。
特に、会田誠の「滝の絵」
参考 濃いい!アートのデトックスと再生について。「アートで候 会田誠・山口晃」展@上野の森美術館 (宮村周子の展覧会リコメン すご早!アート2.0)
たしかに、幼女の破廉恥な肢体をヘーキで描いちゃう会田節に、非難・嫌悪があびせられる事実はいなめません。けど、アートの王道である「欲望の真髄=エロ」という主題を……
破廉恥といえば、こんな感想も発見。
自分の隣にいた年配の夫婦だと思いますが、会田氏の作品「滝の絵」をじっくり眺めていて
発した一言。
「ハレンチだな〜。」
http://blogs.yahoo.co.jp/ram808jp/49561408.html
この絵がいやらしく見えるのは男性(の異性愛タイプ)だけじゃないかという気もするんだけど、他の方にはどんなふうに見るんだろう。やっぱりエロくみえるのかな? 俺にとっては「無駄にエロい」(非常にエロいという意味) 絵であった。なまなましい感じ。
他に、「あぜ道」とか。(初めて実物を見ることができた。)
参考: ハルカリ「音樂ノススメ」と会田誠「あぜ道」 : L.H.O.O.Q*
戦争画 RETURNS の屏風などなど。
「大山椒魚」は高橋コレクション蔵になっていた。すごい。高橋氏は倉庫借りて、いっぱいコレクションしてるらしいけど、ここまででかいと、出し入れして壁にかけるだけでも大変なことだな。かっこいい。こういうコレクターって、やってみたいなあ。
帰りは、国立西洋美術館によってみた。コルビュジエ(コルビュジェ)の設計だ、って話を読んで何年かぶりにちょっと入ってみたくなったので。 どの作品もすばらしい!!
なんか、7月から、「見る楽しみ・知る喜び」と題した企画をやるらしい。「工業製品と異なり、定価のない美術作品の値段が決定される市場の構造やオークションという作品売買の仕組みを知るとともに、好きな作品を蒐集する個人コレクターの醍醐味も紹介します」だって。面白そう。(定価がある工業製品ってのも今時珍しいような気もするけど)
参考: 「会田誠・山口晃展」 オフィシャルブログ-会田誠・山口晃展:イザ!
『会田誠 x 山口晃 「アートで候」』
会場: 上野の森美術館
スケジュール: 2007年05月20日 〜 2007年06月19日
展示時間:10:00-18:00
住所: 〒110-0007 東京都台東区上野公園1−2
電話: 03-3833-4191