生誕100年 東山魁夷展・竹橋 東京国立近代美術館

東山魁夷、生誕100年を記念する展覧会。代表作の残照、道、花明り、唐招提寺の障壁画の一部など、100点余を展示。

東山魁夷は横浜生まれの神戸育ち。昭和元年(1926年) 東京美術学校に入学。お父さんは船具商をしていたが没落して1942年に亡くなってしまう。その後お母さんと、かわいがっていた弟さんが病気で次々入院、さらに戦争になって招集されて熊本で戦車に突撃する決死隊みたいな訓練をさせられていたらしい。

で、やっと戦争が終わったと思ったら、入院していたお母さんと弟さんが亡くなって、早くに亡くなっていたお兄さんも含めて(奥さん以外の)肉親がみんないなくなってしまう。おまけに第一回の日展に応募した作品は落選してしまって、かなりバイオリズムが低まっていたんじゃないかという気がするんだけど、そんなさなかに描いて1947年の日展に入選したのがこの作品、「残照」

千葉の鹿野山をはじめとする、いろんな山々の風景を重ね合わせて描いた夕暮れの明かりに照らされている山並み。(参考) 手前のほうは、もう暗くなってしまって、寒々とした寂しい感じだが、奥の高い山々はまだ明るい。後の「魁夷風」の作風とは少し違う写実的な作品で、感傷的で寂しげ、しんみりとした感じ。……なのだが、実際に見ると結構大きくてダイナミック、なにがあっても画家としてやっていくのだ、という強い意思も感じさせられる作品である。

魁夷の描く作品のテーマは「生」。 自然の風景、そこに広がる無数の木々、その生命の営みみたいなもんを描こう、ってのがひとつのテーマになってるらしい。そういう意味では、この寂しげな山々の風景のなかにも、たくさんの木々があって、夜になれば次の日の朝を待ち、寒い冬になれば次の春を待つ、そんな木々のたくましい「生」が (自分や家族の人生と重ね合わせて?) 描かれた作品、ともいえる……のかもしれない。

他にも、いろんな意味で有名な「道」、「花明かり」 その他、白馬シリーズなどなど盛りだくさん。


唐招提寺の襖絵は1970年代の10年間(正確には81年までの11年間)を費やして制作された大作。二階の展示室に畳を敷いて展示されている。

会期中の木・金・土曜日は、20:00まで開館してるらしい。


「生誕100年 東山魁夷展」
会場: 東京国立近代美術館
スケジュール: 2008年03月29日 〜 2008年05月18日
住所: 〒102-8322 千代田区北の丸公園3-1
電話: 03-5777-8600(ハローダイヤル



……という展覧会。その「ブロガー対象プレビュー」なるものに行ってきた。

「プレビュー」なので会期前。それも無料で見られる。その代わり、見た内容をブログに書かなければいけないという条件付の、ブロガー向けイベント。

見て面白くなかったら書くことがなくて困るので、参加しようかどうしようか悩んだんだけど、会期がはじまったらクソ混みそうだ、ってのと、ブログマーケティングにちょっと興味があったんで、どんなもんかと参加してみた。

かなりすいていたのはよかったんだけど、「写真撮影可」ってことで、写真撮ってる人がちょっとうっとうしかった。撮影は「展示風景」のみ可、作品単体での撮影は不可(ブログ用画像は別途提供)って話だったんだけど、どうみても作品のまん前に立って「作品と額縁と壁」しか写ってなさそうな写真取ってる人が結構いて邪魔くさかった。(そういうのも「展示風景」っていうんだろうか??)

あとはごく一部、オフ会かなんかと勘違いした人たちが、徒党を組んでかなり大きな声でしゃべってたりしていたが (お金払って行く展覧会でもあのボリュームで会話するんだろうか?) これは行く前から「きっとうるせーやつがいっぱいいるに違いない」と予想していたので特に気にならなかった。

こういうののブロガーイベントって、どれくらい効果あるんだろ。Yahoo!のブログ検索でざっくり検索した感じだと、あんまり効果ないみたいだけど。「会期前に見られる」(+ 図録)程度じゃプレミアム感が足りないのではないかな。

無料ってのもねえ。逆に10,000円ぐらいとって特別なイベント開く、とかやったほうがオノボリサン的なブロガーが集まって嬉しがって書くんじゃないか。

10,000円じゃ、誰も来ないか? でも、無料にしないと人が集まらないレベルのイベントにブロガー集めてもねえ (金持ちで忙しいやつはこないよね) どうなんだろ、そこらへん。

そういえば、来週12日(土曜)のテレビ東京美の巨人」で、ここで↑紹介した「残照」をとりあげるらしい。