東京都現代美術館・MOTアニュアル2006

東京都現代美術館の常設展は、去年までは、教科書っぽい感じで時系列に作品が並んでいるのが1階、3階には、サム・フランシス + 小特集 + 宮島達男って感じでずっと同じ構成だったと思う。(時々、1階の展示が少し入れ替わったりするのと、3階の小特集コーナーが変わるだけで。)「日本の美術、世界の美術ーこの50年の歩み」っていうタイトルだった。

それが去年から作品がほとんど全部入れ替わって、テーマ別展示になったみたい。いまやってる展示は「あなたのいるところ」と題した展示が1階で「コラージュの世界」が3階。

結構、面白くまとまっていると思った。1階の展示は要するに、「わたしと違うあなた」というか、「他の人ではない、あなた」をどう表現するか、ってな感じのコンセプトだと思う。リキテンシュタインも展示されてる理由がわかりやすくて良い。3階は、オリジナリティというか、創造する、ってことの意味について、コラージュをテーマにして展示してるんだと思った。

3ヶ月で終了するみたいだけど、半年ぐらい続けてもいいんじゃないかと感じた。常設展だから、あんまり宣伝してないのではないだろうか? 3階の草間弥生のコラージュが綺麗だった。草間彌生の部屋は照明も工夫されていて、良い雰囲気だった。

企画展は、ふたつやっていて、ひとつは、「転換期の作法」展。東欧の現代アート。楽しいもの、雰囲気の良いものばかり。どれも理屈っぽい背景があるような気がするけど、そういうのを気にせず楽しめる演出が良い。最後の部屋にある作品は、宇宙服以外は触って体験できる。

もうひとつの企画展は、MOTアニュアル。日本の若手アーティスト特集。松井冬子さんの作品を初めて見た。長沢明さんの作品はとてもいい感じであった。小さい絵があったら、欲しいかも。

「日本の若手アーティスト」の展覧会を見ると、いつも思うんだけど、どれもこじんまりしていて薄くて透明で。上品で器用で静かな感じ、優等生っぽい感じがする。松井冬子さんが、ダサくてへたくそで、枠からはみ出したような、「規格外」の作品を描いたら楽しいんじゃないかな、っとか、思いました。

ただ、松井冬子さんの作品は、なんとなく、五年後、十年後、もっと骨太な荒々しい作風になっていくんじゃないか? と思えるような、そんな秘められたパワーも感じられました。