吉原治良展、東京国立近代美術館

竹橋の国立近代美術館で開催中の「吉原治良展」に行ってきた。

独学で油絵を学んだ吉原治良。初期の頃はお魚の絵ばかり描いて「魚の画家」として注目を集める。その後、藤田嗣治に「他人の影響がありすぎる」と指摘され、オリジナリティーの重要性を認識。その後具象から抽象画家へと転進。具体美術協会で活躍っと。吉原製油って会社の社長でもあったらしい。

吉原が生涯を通じて追求した「オリジナリティー」について考えさせられる展覧会。どの絵も何かの影響を受けて描かれているものばかり。「自分独自の表現」がいかに難しいのかを再認識させられる。

貪欲にいろんな画風に挑戦したのが災い(?)して、「吉原らしさ」とはなんなのか、後期の「丸」を描いた絵以外は、印象的な絵も、「吉原らしさ」が感じられず(理解できず)、なにがなにやら、という感じ。試行錯誤は大切なんだと思うけど、アーティストのアイデンティティというか、オリジナリティを獲得する困難さが感じられる。

常設展では、「持続/切断」と題したミニ展覧会も開催中。四人のアーティストの作品を展示している。

それぞれの作家の初期の頃の作品(1950年代の作品)と、最近の作品をならべて展示するという企画。

同時代を生きる四人のアーティストが、「1950年頃は、どんなものを作っていたのか」というのと、その同じ四人が「最近はどんなものを作っているのか」を対比しながら見ることで、時代性がアーティストに与えた影響をみることができる、と。もちろん、それぞれのアーティストの作風が、数十年経てどう変わるのか、というのも見ることができる。

「時間」の研究は哲学の重要な一分野だったりするけど、そういうのを意識した小粋なミニ展覧会。

常設展では山口華楊という画家の鹿の絵が素敵であった。こういう絵が似合う家に住みたい、て感じ。この山口華楊の絵がかけてある一角は、いついっても欲しくなる絵がかかってるような気がする。なんでだろう。

山口華楊はこんな感じ。 http://homepage.mac.com/nahp/earth/topics/1999/19990117.html

なんか高そうだ。こんな雰囲気の絵、模写っぽい感じで、誰かリーズナブルな値段で描いてくれないもんだろうか。やっぱり難しいのかなこういうの。

今回の展覧会の情報 生誕100年記念 吉原治良展 東京国立近代美術館 本館

持続/切断−毛利武士郎・村岡三郎・草間彌生・河原温