今敏監督作品・映画「パプリカ」

j0hn2007-02-02


これはなかなか面白い映画だった。

mixiのレビューなどを見てみると、過去の今敏作品を見たことがある人は「新味にとぼしい」と感じる傾向があるみたい。だけど、俺は、これが始めてみる今敏作品だったので、非常に楽しめた。

他人の夢の世界に入り込める機械が盗まれてさあ大変って話で、まあ、他人の夢の世界に入れる機械なんてありえない話なわけで、こりゃあSFらしいSFじゃあ、って感じなんだけど。

でも、よく考えてみると、俺が目で見ている風景、耳で聞いている音、そういうのは、俺が痛いとかカユイとか感じる感覚なども含めて全部、俺の脳内現象だったりするわけで。

それを、いま、こうやって、ぱちぱちとパソコンに入力して、ハテナに登録すると、俺の考えていることが、あなた(これを今読んでいるあなた)の脳に入り込んでしまうことになる。という言い方もできる……

そう考えてみると、他人の脳に入り込んで体験を共有するってのは、そうそう突飛な話じゃない、という言い方もできるかもしれない。(実際、この映画では、「ネットの世界って、夢の世界と似てない?」みたいな感じのセリフがあったりする)

個人的に面白いと思ったのは、この、夢の世界と現実の世界が交錯するって感覚が、まず、ひとつの軸になって、そこにほかの要素が重なって入ってくるところ。

その要素のひとつが、患者(?)の刑事さんの治療(?)が進むにつれて出てくる「(子供の頃の)夢」の話。夜見る夢と、「将来の夢」どちらも「夢」って言い方をする。

どちらも「非現実」なんだけど、将来の夢ってのは、時間的に将来起こる(起こって欲しい)こと、つまり、現在のことじゃないから「非現実」。ところが、(去年、「あなたは夢が無いからどうのこうの」ていう事件があったりしたけど) 将来の夢ってのは現在の自分の行動に影響を与えているわけだ。

これが物語のもうひとつの軸になっている。時間方向の「非現実」と「現実」の交錯。

さらに、ここにもうひとつの軸が入ってくる。これはネタバレになるので書くのはやめておくけど、この三つ目の軸が俺(見てる人)に向かって、ブーンと伸びてくる。

この三軸が交錯することで、「現実」と「非現実」が、ひっちゃかめっちゃかに混ざり合ってしまうという。これはとてもよくできた映画であった。

http://www.apple.com/trailers/sony/paprika/

http://www.sonyclassics.com/paprika/

新宿では今日で公開が終わってしまったらしいけど、六本木の「シネマート六本木」というところでは、まだ公開されているらしい。DVDで見るよりも映画館で見るのをお薦めしたい。

(追記: アメリカでも上映されるみたい)

音楽も面白かった。エンディングテーマが無料公開されているという太っ腹っぷり。

まあ、いろんな映画の色んなシーンを思い出してしまう人もいるようだけど、個人的には主人公の女の子「パプリカ」が非常にかわいらしくて感情移入できたのでよかったことにする。

http://www.youtube.com/watch?v=FqhYq296JvQ