記憶の位相 - Aspects of Memory - 水道橋・UPフィールドギャラリー

id:n-291さんこと、福居伸宏さん他、5人の写真家によるグループ展。

福居さんの写真目当てで見に行ったのだが、なんとも不思議な写真であった。

福居さんの写真については、

ネットで色々と読んだり見たりすることができる。

それで、(ご本人のことは全く存じ上げないのだが)なんとなく、わかったような気になって、本サイトで紹介されているような夜の都市、特に道や空き地など、「存在していないもの(そこを行きかうものや人など)」を意識させるようなお写真を見られるのだろうか……と「予断」をもって見に行ったのだが、展覧会の作品は、夜の都市の風景ではあるものの、サイトで紹介されている作品とは若干雰囲気が違っていて、色々と考えてしまった。

Web写真界隈には、

Webにアップするものは、展覧会で使うか使わないか微妙なカットです。あるいは、何かひっかかりがあって、その理由が自分でもわからないものです。何度も見直して自分で客観的に検討するために、Webにアップするようにしています。無条件で展覧会で使いそうなカットは、それとは別に寝かせておきます。

Every Sunday──福居伸宏

……とある。

俺にはむしろ、展覧会の作品のほうが「何か引っ掛かりが感じられるような気がするが、それがなにかわからない」作品のように見えた。

基本的に俺は写真の歴史も技法の巧拙も全くわからないので、直感的に感じる見方しかできない。写っているのは夜の都市の風景なので、都市、暮らし、光など、もちろん、見たものについて色々と感じることはあるのだが、ネットでのお写真・文章を拝見した上で見ると、それらと共通する感覚について色々と考えこんでしまう。

帰ってきてから見た、こちら→ 郵便的応答? を拝見すると、見た目以上にコンセプチュアルな表現なのかしら、という感じもする。

また、Yahoo!のブログ検索で、こんなページを見つけたのだが(なんでこれがブログ検索で出てくるのかよくわからないが)

http://www.digicamezine.com/mt-static/2007/04/every_sundaywatch.html

でも、はっきりいってこの人の写真はよくわからんよ。
カラッポな感じがする。

そう、敢えて空っぽに見えるような撮り方をしているね。
安易に言葉で置き換えられるのを拒否するような写真だな。

どこか自分の感情が入りづらいというか、
写真について考えようとするのを拒否しているようなところがあるように思えるね。

……などの感想、これは、サイトの写真だけを見た感想なのか、展覧会も見に行ってるのか、わからないが、展覧会の作品は、こういった「言葉で表現されることを拒否する」感覚がサイトで紹介されている作品よりも、ずっと強く感じられた。(こういったものを意図されて作られたんだとしたら、これはとても面白いことだと思う)

他の方の作品もどれも面白かったが、とくにお隣の芥川龍之介のお墓などを写した一連の作品が面白かった。「今しか見ることができない美」の追求、みたいな感じだろうか。とてもお洒落な感じがした。

撮った写真には、その人の「ひととなり」がでるだろうか? お洒落な感じがする作品を見ると、撮った人もおしゃれなんだろうなと思う。荒木経惟とか森山大道なんかも、作品とその人の生き様に類似が感じられるだろう。かっこいい写真を撮ってる人はカッコイイし、好きなものを徹底的に追っかけて写真にとってる人は、それっぽい風貌をしている。

福居さんは、一体どんなかたなんだろうか? と考えてしまった。

■記憶の位相 - Aspects of Memory@UPフィールドギャラリー

2007年4月6日(金)〜4月22日(日) ※会期中無休

http://www.upfield-gallery.jp/