コンウェイのライフゲームは「生命の誕生・進化・淘汰のプロセスを再現したシミュレーションゲーム」か?
ライフゲームとは生命の誕生から進化、淘汰までのプロセスを再現したシミュレーションゲームのこと。
敵のセルを侵食していくライフゲームシューティング「L.A.2」 - GIGAZINE
これだと昔のSimEarthみたいなゲームを想像してしまう。
「ライフゲームとは、ます目に描いた模様を一定の規則で変化させていき、その模様の変化を眺めるシミュレーションゲームのこと」ぐらいにならないもんだろうか。(セル・オートマトンという言葉を使わないで説明するとすればの話だが)
この「生命の誕生進化……」っていう大げさな表現、どっからでてきたんだろうと思って調べてみたんだけど。
このWikipediaの項目。履歴の「最古」のやつ(2003年8月に書かれたやつ)に、すでに「生命の誕生進化……」と書いてある。ていうか、その最古のやつには、その一行だけしか書いてない。
ちなみに、当時の英語版の項目がこれ
いつも思うんだけど、どうしてWikipediaの日本語版って英語版をそのまま訳さないんだろう。(訳しちゃいけないのかな?) 一行目だけ訳しておけば楽なのに。
さらに不思議なのは、二行目の「生物集団においては、……という個体群生態学的な側面を背景に持つ」てとこなんだけど。「背景にもつ」っていうのはどういう意味で、なにを根拠にしてるんだろう。(これだけ言い切るからにはちゃんとした出典があるんだろうけど)
最初にライフゲームが紹介されたScientific Americanの記事、たぶんこれだと思うけど。
MATHEMATICAL GAMES The fantastic combinations of John Conway's new solitaire game "life"
Because of its analogies with the rise, fall and alternations of a society of living organisms, it belongs to a growing class of what are called "simulation games"--games that resemble real-life processes.
(ライフゲームは) 生命体の社会が、勃興し、没落し、変化していく姿との類似から、最近流行の「シミュレーション・ゲーム 」― 実世界の仕組みをまねたゲームのひとつといえる。
Conway's Game of Life: Scientific American, October 1970
……とは書いてあるが。でもこれは「シミュレーションゲーム」に分類される理由として、そういうアナロジーがみてとれるので、って話だとおもうし。
(追記: real-life processの部分の誤訳か?)
他はどこをどう読んでも「生命の……を再現したゲーム」の話にはみえない。
Wikipediaの英語版の項目には、ちゃんと「origin」の節があるけど、ここにも生命云々の話は書いてない。(It is interesting for biologists、とはかいてあるが)
Conway's Game of Life - Wikipedia, the free encyclopedia
その一方で、(生命云々とは全然関係ないけど)
「The patterns that emerge from the simple rules may be considered a form of beauty.」
とか書いてあって、Mathematical beautyなんていう項目にリンクされている。これは面白そうだ。あとでじっくり読んでみよう。さらに、その関連項目には「Mathematics and art」とか「Aesthetics」とか、面白そうな項目が並んでる。こまったこまった。
ちなみに、GIGAZINEで紹介されているゲームができるまでのいきさつ(?)がこちらで紹介されている。面白い。
http://d.hatena.ne.jp/ABA/20070317#p1
こんな本もみつけた。これも面白そうだ。
- 作者: ウィリアム・パウンドストーン,William Poundstone,有澤誠
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2003/06/12
- メディア: 単行本
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