六本木クロッシング 2007展 (六本木・森美術館)

「4人のキュレーターによる活発な議論を通して、枠に収まりきらないエネルギーと影響力をもつ、今見せるべきアーティスト36組を厳選」した展覧会。(森美術館のウェブサイトより)

「網羅的、総花的なセレクションをめざすのではなく、各キュレーターの『偏愛』を出発点としつつ、その作品の持つ力や今という時代との関係などについてチーム内で分析と議論を行った」のだそうです。

まず美術館の入り口の前、中央のアトリウム(六本木ヒルズ用語では「センターアトリウム」と呼ぶ)には、大きな富士山の絵が。なんか風呂屋の絵みたいだなーと思ったら、これは本当に銭湯の壁に絵を書いている人の作品らしい。

会場に入ってすぐのところには、id:uziさん(内原恭彦さん)の作品が。ひとつは外国のゴミ捨て場? (インドだろうか?) もうひとつは id:YADAさん(山田大輔さん)がパソコンをいじってる風景。「はてな写真界隈」に通じた方であれば、こんな風景の中で、こういったエントリーを頭から湯気を立てつつ書いていたのだろうか、などと、「はてな的な鑑賞」もできるだろう。(参考: id:YADAさんの人気エントリー)

個人的には、内原さんの作品で強い印象を受けるのは、「日本の猥雑な風景の中に突然現れる色鮮やかなゴミ」の作品だったりする。今回の作品は大きくて細密画のような印象を受けるが、六本木の高層ビルの最上階(人工的で清潔な場所)なのだから、逆に、足元の(日本の)誰もが無視するようなゴミの作品もみてみたかった。(天邪鬼的嗜好)

細密画といえば、できやよい冨谷悦子 (どちらも山本現代) の作品も非常に小さく、細かく描きこまれていた。

よく考えると、ほかにも、さかぎしよしおう (参考: ex-chamber museum: review:さかぎしよしおう展) や、吉村芳生 (参考: 新聞紙の中に身を潜ませて 吉村芳生 展)の作品なども微細な表現が印象に残る。(美は細部に宿る?)

タオルのほつれた糸で鉄塔を作った作品まであったが、(これは会期中にまず間違いなく踏み潰されて消滅するような気がするので、これを見たい人ははやく行ったほうがいいと思う) こういった細かい表現が「今」の表現なのだろうか。

広い空間でこれらの小さな作品が展示されている一方で、田中偉一郎(「視デ」の出身なのですね)の作品は肩肘張らないリラックスした感じが楽しかったし、広い空間をいっぱいに使った名和晃平のモコモコした作品なども面白い(が、なにを表現しているのかはよくわからず)

個人的には、雑誌や本などでしたか見たことのなかった、飴屋法水(ふくろうのお店にはいったことあるんだけど) と、伊藤ガビンの作品を見られた(体験できた)のがうれしい。

「網羅的、総花的なセレクションをめざすのではなく」と図録にはあるが、全体をどう理解していいのか良くわからなかった。ぱっと見た感じ、総花的だよなあ、という印象。これが2007年、日本の「未来への脈動」なのだろうか。……難しいことはともかく、友人と「なにこれ?!」と楽しむのには丁度良い感じの楽しい展覧会ではあった。

「六本木クロッシング2007:未来への脈動」展
会場: 森美術館
スケジュール: 2007年10月13日 〜 2008年01月04日
12月25日(火)、1月1日(火)は22:00まで
住所: 〒106-6150 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F
電話: 03-5777-8600