ガイ○の夜明け 〜沸騰する現代アートの裏側〜

今週の火曜、テレ東で現代アートの番組をやっていたのでキャプ画像を交えつつ(引用しつつ)概要を紹介。(今日、26日(金)の夜、 BSジャパンで再放送やるみたい)

冒頭ではオークション会社の人が、大阪・枚方市のケーキ屋さん「トライアングル」さんを訪問。ここのご主人は現代アートのコレクター。(このトライアングルさんのサイト、下のほうのメニューから、このかたのコレクションを見ることができる)

所蔵作品をオークションに出す相談。天明屋尚の作品を前に、うれしそうに自慢してる。よかったですね。

続いて、資産運用コンサルタント逢坂ユリさん。(ちょっと前にAERA現代アートの記事にもでていたような気が。(追記: AERA 2007年7月9日号 「未上場アート BUY NOW」という記事))

「高くなる」といわずに「今は割安」「10年後に転売できる」という言い方にとどめるところがプロっぽい。聞いてる人の中には「10年後、物凄く値上がりする」という意味だと解釈する人もいるかもしれないが、それは自己責任で。(そんなこと言ってません、みたいな)

深読みすると、日本の現代アートへの投資については、結構、弱気な見方をしているのかもしれない。(例えば中国などと比べて)

寸劇。「おたくにあるMr.という作家の絵をオークションに出しませんか」「え? これ? 10年前に子供に買ってやった2万の絵なんだけど」「今は500万くらいします」「え!!!!」

Mr.の絵を子供に買ってやるやつなんているのか。(やめたほうがいいような)

この絵は実際に今年5月のSotheby'sで 45,000ドルで落札されている。 (参考: artnetの過去のオークション記録ページ Mr. "Bath time")

そのあと、サザビーズの副会長やってる蓑豊氏(金沢21世紀美術館前館長)の仕事の様子を紹介。9月20日のオークション「 Sotheby's New York Contemporary Art Asia: China, Korea, Japan」の下見会などを紹介。

日本人の作家の出品数が少なく、さらに落札価格も低くて不満げな蓑氏。

日本人の作品だと、

ぐらいか。ほとんど9割方は中国の作品という感じ。(そういえばこれと似た感じの作品をついこないだ原美術館で見たような気がする。これはあんまり高くないな。)

ここでまた寸劇 (これはどこから出てきた絵だろう)

「いかがですか、私の絵」「いいねえ、構図もしっかりしている 色使いも斬新」

「何がいいって、まだ無名だってことよ」「絵ってのは、名が売れるとすぐ値段が上がっちゃうから」

「ちなみにいくら」「8万円になります」「安い……1年後には100万、いやいや200万で転売できるかもしれないぞ」

番組後半は、9月に上海で開かれたアートフェア、ShContemporary奈良美智の作品を持ち込んだ 小山登美夫さんの奮闘ぶりを紹介。

こんな感じの客が多い。

売れるでしょうか……(売れました)

……といったかんじの番組。

一般的にこういう話では、番組見る人は、「転売ヤーみたいな買い方をする人はよくないよ」っていう解釈をすることが多いのではないかという気がするけど、転売屋ってのは、「売れそうな絵」にしか目をつけないはず。つまり、自分の好みじゃなくて、他人の好みのことを真剣に考えているはず(うまくいく転売屋なら)

こういう人たちも社会には必要なのかな、と思う。自分が好きで絵を買いました、死ぬまで自分ちの壁にかけておきます、っていうのは社会性がない。周囲の人の理解がなければ、その人が死んだら遺族に捨てられて終わってしまう。

そういうとき、絵に興味のない人の手も経て歴史に残っていくためには、ある程度、金銭的な価値が生じる絵でなければならないはず。で、価値が定まるためには流動性のある市場も必要。(常に買い手がいてくれるような市場がないと困る) というわけで、そういう市場には投機家も必要。

といっても、そういう投機家ばかりだと、「投機家が値上がりしそうだと思う絵」ばかりが残ってしまうので良くないんだろうけど。

しかし、こういう番組に煽られて絵を買う人ってどれくらいいるんだろう??